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図1はシリコン太陽電池セルの心臓部である【pn接合ダイオード】のしくみを模式的に描いたものです。図に示すようにn形シリコンとp形シリコンを重ね合わせてあります。
純粋のシリコンは抵抗が高く電気が流れません。純粋のシリコンにほんのわずかの不純物を添加すると電気が流れるようになります。電気の運び手(キャリア)は電子またはホール(電子の抜け穴)です。純粋のシリコンに微量のリンを添加すると電子が電気を運ぶn形シリコンになります。一方、微量のホウ素を添加するとホールが電気を運ぶp形シリコンになります。
n形とp形をくっつけて【p-n接合】をつくると、図2に示すように、p形側をプラスに、n形側をマイナスにすると電気が流れるけれど、逆にn形側をプラスに、p形側をマイナスにすると電気が流れない【整流性】をもつデバイス【ダイオード】になります。
このダイオードに太陽光を当てると、図3のおうに、n形側がマイナス、p形側がプラスになって電気を取り出すことができます。これが太陽電池です。太陽光発電に寄与するのは、n形シリコンやp形シリコンに含まれる電子やホールではなく、光照射によってシリコンの中に作り出された電子とホール【光キャリア】です。これらの電子とホールは、接合界面付近にある【内蔵電位差】によって分離し、電子はn形側の電極に、ホールはp形側の電極に導かれて電気を起こすのです。
このように、太陽電池セルでは光が当たっているときだけ電気が生じますが、光がなくなると電気が起きませんから、電池といっても乾電池や蓄電池のような電気を蓄える働きはなく、太陽光発電器というべきものです。
要点Check:
太陽電池セルは、p形とn形の半導体のpn接合でできたダイオードである。
太陽電池には電気を蓄える働きはなく太陽光発電器というべきものである。
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