電子物性工学U 佐藤勝昭教官 1996.10.24

Q:テレビカメラ(CCDでないもの)の原理(有馬)→A:撮像管という真空管の仲間です。画像は撮像管の窓のすぐ後ろにある光導電体(光が当たると電気を通しやすくなる半導体材料)でできたターゲットに結像され、光の強さに応じた正電荷が蓄えられます。これを電子ビームが走査したときに、電荷に応じた電流が回路に流れます。
Q:フレームメモリの原理を教えて欲しい(手島)→A:テレビ信号はアナログですからそのままでは扱えませんので、A/D変換してディジタル信号になおして、画素毎にRAMに記録させます。1フレームというのは、1枚の画面(1秒間には30画面が送られています)のことです。実際には、テレビ信号はインターレースといって、1走査線おきに伝送されています。その荒い画面をフィールドといいます。フレームメモリでは2フィールド分をため込んで1フレームを作ります。最近のパソコンではテレビ信号の処理ができますが、コンピュータの中のRAMをフレームメモリとして使用しているのです。
Q:普通のテレビジョンとハイビジョンの違い(久松)→A:まず横/縦比が普通のTVは4:3であるのに対し16:9です。走査線の数が、普通の方式では525本であるのに対しハイビジョンでは1125本です。水平解像度も現行方式の約2倍と鮮明になっています。伝送方式も、ハイビジョンでは静止画成分と動き成分をわけて送るなどの工夫をしています。現在は信号をアナログで伝送していますが、将来は、ディジタル伝送方式になる予定です。
Q:偏光の制御とはなにか(チンキンヨン)→A:液晶ディスプレイでは液晶分子の配向(並び方)を電圧で制御することによって偏光の回転を制御し、検光板を透過してくる光の量を制御します。(詳細は光物性工学:3年前期で)
Q:材料を冷やすことで伝送受信能力が高くなるのはなぜか(石黒)→熱雑音はkTに比例しますから、一般に低温にすれば雑音が減少し、弱い電波を増幅することができるようになります。
Q:(不純物半導体の導電率のアレニウスプロットにおいて)出払い領域が見られない場合はないのか(岸本)→A:あります。いきなり、折れ曲がる場合があります。
Q:デバイスとは何か(窪喜、古谷、宮本、村上)→A:英語でdeviceと書きます。仕掛けとか小細工という意味で、一般には、半導体デバイスは、日本語では半導体素子と訳されていることが多いようで、トランジスタ、ダイオード、集積回路、発光ダイオード、半導体レーザ、ホトダイオードなどのことを呼んでいます。
Q:半導体で温度を上げると抵抗が上がるのか、導電率が上がるのかよくわからなかった(徳本)→A:半導体では、温度とともにキャリア密度が増加するので電気が流れやすくなります。すなわち、導電率が上がるのです。一方、金属では、キャリアの増加がほとんどありませんから、格子振動(フォノン)によるキャリアの散乱が効いて高温では、電気が流れにくく(抵抗が高く)なります。
Q:アレニウスプロットとは何ですか。(笹木)→A:教科書のp31参照。
Q:半導体が実際の機械の中でどういう役割をしているか(湯本)→A:テレビやパソコンの中を覗くと、ムカデのように足のたくさんある部品が基盤に半田付けしてあるのが見えるでしょう。あのムカデの黒いプラスチックをどけて中を見ると小さな半導体のチップがあります。ダイオードでもトランジスタでもプラスチックで保護されていますが、中には、1mm程度の小さな半導体のチップが納めてあるのです。半導体素子は、ホトダイオードのようにセンサとして使われたり、トランジスタのように増幅器として使われたり、RAMのように論理回路素子として使われたりしています。
Q:温度によって抵抗が急激に変化する半導体をどのように制御するのですか。(望月)→出払い領域の所ではそんなに大きく変化しませんから、ドーピングの程度をよく制御すれば、そんなに使いにくくありません。
Q:音響と電子物性の間にはどんな関係があるか(三沢)→A:音響技術は、集音(マイク)、スピーカ、音の伝搬や音場の形成などの技術の集積です。音響技術はほとんど完成した技術ですから、今後にあまり大きな進展はないと思います。物性は、デバイスの動作や材料の加工に関連した「中身」のことなので、直接音響と関係ありません。しかし、超音波を使った医用計測などは、考え方は物性の測定技術と同じですから応用が利きます。篠田先生は、超音波を用いた触覚センサなどを工夫して、たくさんの賞を取っておられます。
Q:E-Mailで質問してもよいか。→A:結構です。E-Mailに答えずに紙に書くかもしれません。
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