エレクトロニクスII 佐藤勝昭教授(量子機能工学研究室)2002年度後期第8回配付資料 H14.12.6
金曜日1限 12番教室 テキスト「電子回路」
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第7回講義の復習
トランジスタの動作原理について学んだ。教科書p.21-25
ポイント:
1.
トランジスタは、エミッタE(キャリアを放出する部分)、ベースB(キャリアの流れを制御する部分)とコレクタC(キャリアを収集する部分)からできている。
2.
npn形では、エミッタとコレクタがn形、ベースがp形であり、
pnp形では、エミッタとコレクタがp形、ベースがn形である。
3.
トランジスタが動作するには、E-B間の接合に順バイアスを、B-C間には大きな逆バイアスを加える。
4.
npn形の場合、エミッタに対してコレクタに正の電圧を加えるが、
pnp形では、コレクタに負の電圧を加える。
5.
npnでは、コレクタ電流Icは、C→Eの向きに流れる。電子についてはE→Cの向きに流れる。
pnpでは、コレクタ電流Icは、E→Cの向きに流れる。電子はC→Eの向きに流れる。
6.
トランジスタは電流動作である。ベース・エミッタ間に流す電流IBのβ(〜100)倍の電流ICがコレクタ・ベース間に流れる。
7.
ある一定のVCEを超えると、ICはVCEに関わらず飽和して一定になる
8.
トランジスタが動作しているときのB-E間の電圧は、ほぼ0.6-0.7Vの一定値をとる。
第7回の問題
npnトランジスタの記号を書き、動作させるために必要な電圧のかけ方を示せ。
第7回の学生からの質問
Q1: トランジスタの原理がよく分かりません。(白橋)
完全に理解するには、半導体のバンドダイアグラムのことを勉強しなければなりませんが、
大まかに言えば、ベースとエミッタの間にあるpn接合に順方向電圧を加えると、ある値(0.6-0.7V)を超えたときにスイッチが開いてpn接合を通してキャリアがエミッタからベースへと流れるようになる。このときコレクタ・ベース間に大きな逆方向電圧を与えておくと、空乏層に大きな電位差がかかり、エミッタから流れ込んだキャリアはこの電界に引き寄せられて、ベースの電極には行かずほとんどがコレクタに行ってしまう。コレクタ電流はベース電流のβ(〜100)倍なので、小さな電流を流して、大きな電流をコントロールできる。
Q2: なんでVBEは0.6-0.7Vになるのですか。(小尻)
pn接合ダイオードの特性で学んだのと同じです。すなわち、pn接合によってできた空乏層の内蔵電位差の分を打ち消してやるだけの電圧をかけると、自由に流れるようになるのです。
学生の感想
C1: トランジスタについての理解が深まった。(今野)
C2: 今日の授業は比較的ゆっくりで、文字が大きくて、少しわかりかけた気がする。(民部)
第8回の授業内容
トランジスタ回路の基本を学ぶ
一般的なこと:3つの接地方式
エミッタ接地の場合の動作点を決める(教科書p.28)
VBE-IB特性とエミッタ回路の負荷曲線からグラフを利用して、エミッタ回路の動作点を決める。
VCE-IC特性とコレクタ回路の負荷曲線からグラフを利用して、コレクタ回路の動作点を決める。
トランジスタの主なバイアス回路を学ぶ(教科書p.30)
トランジスタを動作させるには、予め電流を流さねばならない。
しかし、温度変化により動作点が移動したり、回路が不安定になったりする。
熱暴走
(1)
自己バイアス回路
(2)
電流帰還型バイアス回路(安定なバイアス回路)
(3)
ブリーダ電流バイアス回路(最も安定なバイアス回路)