エレクトロニクスII 佐藤勝昭教授(量子機能工学研究室)2001年度後期第1回配付資料 H13.10.4
金曜日1限 12番教室 テキスト「電子回路」
E-mail: satokats@cc.tuat.ac.jp URL: http://www.tuat.ac.jp/~katsuaki/
第1回講義で学ぶこと
1.
シラバス(別紙)にもとづきエレクトロニクスIIで学習する内容の概略を示します。
2.
身の回りのエレクトロニクスとして、テレビジョンシステムを例にとって、電子回路における半導体デバイスの役割を述べます。
3.
授業の最後にエレクトロニクスIで学んだ電気回路の基礎について、キルヒホッフの法則、LCRのインピーダンスについて復習する簡単なテスト(30分)をします。これは、成績評価には用いません。エレクトロニクスIIの授業の進め方を考えるために使います。
テレビジョンはエレクトロニクスの教科書です。TVカメラ(撮像管、CCDなど)で撮影した画像は2次元のアナログデータです。通常のアナログ式テレビジョンでは、走査線によって、1次元データとして伝送します。1次元データを2次元に戻すためには、画像の上端、、下端、および、画像の左端、右端を明確にしなければなりません。この役割を持つのが同期信号です。これは、ディジタルの情報です。テレビジョンでは、アナログの画像データと、ディジタルの同期信号を時間分割で送っています。
さらに、カラーの情報も送っています。ほとんどすべての色は光の3原色(R=red, G=green,
B=blue)によって表現されます。これをそのまま送ると3倍の情報量が必要ですが、細かいところの色は見分けられないことを使って、白黒の信号にカラー信号を重畳して送っています。映像の複合信号(白黒画像+カラー信号*同期信号)で搬送波を振幅変調し、音声や音声多重の信号で別の搬送波を周波数変調した信号と重ね合わせ、アンテナから送信しています。
受信機では、アンテナから来た高周波をヘテロダイン方式で中間周波に変換し増幅したのち、復調します。その後、音声信号を分離し、映像信号から、同期信号、カラー信号、輝度信号を分離、カラー信号と輝度信号からR, G, B3色の信号を合成する一方、同期信号から走査信号を作り出して、ディスプレイ装置に加えています。
テレビジョン受像機のほとんどの回路は、以前はトランジスタや抵抗、キャパシタ、インダクタ、トランスなどを1つ1つ使って構成されていました。トランジスタも50個近く使われていました。このような回路をディスクリート(discrete:離散的)回路といいます。しかし、いまでは、様々なトランジスタ回路機能が1つの集積回路(IC=integrated
circuit)に作り込まれ、数個の部品で構成されています。さらに、最近のディジタルテレビでは、チップ形のコンピュータが組み込まれ画像を処理するソフトウェアが内蔵されています。
このようなエレクトロニクスの基礎になっているのが、ダイオードやトランジスタなどのディスクリートな半導体デバイスです。半導体の物理的性質やデバイスの原理については、3年次で固体物理の授業で詳しく学びますが、この講義では、その半導体を使ったデバイスの使い方を、工学的な立場に立って「技術」として学びます。