■安田研究者の研究結果 |
π共役高分子鎖内の超高速電荷輸送を利用した有機トランジスタ |
有機膜を引き延ばすことで配向をそろえ、主鎖分子内の高速キャリア移動を向上させ高性能有機FETを実現する研究を進めた。 ポリプロピレン基板にスピンコートした溶剤可溶型ポリアニリンを引っ張り機で基板ごと最大15倍まで延伸し、導電率を1000倍にも高めることに成功した。 延伸膜の導電率の温度変化を測定すると、すべて3次元のホッピングで説明でき、当初期待した1次元のバンド伝導にはなっていなかった。 次に、延伸配向法に適した高分子を探索し、結晶(rr-P3HT)、液晶(PFO)、アモルファス(MEH-PPV)薄膜いずれにおいても一部の例外を除き、延伸による配向が起きることを、変更吸収の線二色性から確認した。 結晶性のrr-P3HTという高分子を延伸した薄膜について、トップゲート型の電界効果トランジスタを作製し、ホールの移動度に明確な異方性を見いだした。結晶、液晶、アモルファス性薄膜いずれをも高度に配向させる手法は無く、延伸法が配向薄膜作製法として極めて優れていることを証明した。有機物の電気的特性測定技術を確立したという点でも、日本におけるこの分野のリーダーの1人になってくれると期待される。 |