■山口研究者の研究結果 |
ナノ磁性体集結群の新奇な磁気特性の究明 |
山口研究者の当初の提案は、磁性体ナノワイヤの集結構造を用いて、従来型の金属スプリット・リング共振器によらない左手系のメタマテリアルを実現しようというものである。 彼は、この実現のためには、要素となる技術として、ナノ磁性体における高周波応答を明確にする必要があると考え、 (1)ナノ磁性体のマイクロ波整流特性の物理機構の解明 (2)ナノ磁性体の強磁性共鳴状態での基本的な電磁波応答特性の解明 (3)結晶性の違いによる磁化過程の解明 に取り組み、それぞれについて、分厚い研究成果を得ることができた。 注目すべきは、微細円盤における磁気渦のカイラリティとポラリティの4つの組み合わせを共鳴スペクトルを使って電気的に明確に分離して検出することに成功したことで、さらに共鳴スペクトルの形状が磁壁を生成・消滅させる度に、微妙に異なったパターンを出力することを明らかにし、磁気指紋と呼び話題を集めた。 さらに、副次的ではあるが、層間結合相互作用の空間変調構造において見られるステップ状の磁化反転の非対称性を見いだし、この磁化反転機構を量子井戸ポテンシャルエネルギーの空間微分によるとして、大きな反響を呼んだ。空間勾配を有する量子井戸制御を行なうことにより、機能性素子への応用が期待できる。 |