■谷山研究者の研究結果 |
スピン偏極の外的制御とチューナブルスピン源の創製 |
スピンを利用したエレクトロニクスであるスピントロニクスの分野においては、スピンを材料に注入するが、これまでスピン偏極度を自由に制御することはできなかった。谷山研究者はチューナブルスピン源という困難な課題を独創的な方法で実現した。 具体的には、反強磁性-強磁性の磁気相転移を示す物質を使って、相転移点付近で電流注入により磁気相転移を誘起しようとするもので、鉄ロジウム合金上に コバルトの細線を載せた微細構造において電流注入による反強磁性―強磁性相変化を実現することに成功した。 また、金電極/マグネタイト/半導体量子井戸というヘテロ構造において、温度によるマグネタイトの金属・絶縁体転移を使ってスピン注入を制御する試みを行い、金属相では10%程度だったスピン偏極度が低温絶縁相(5K)では44%にも達することを見いだした。 さらに、鉄/半導体量子井戸において、円偏光励起光電流の円偏光依存性が電圧で大きく変化することを通じて、磁性体/半導体接合界面での電子伝導のスピン依存性が電圧により制御可能であることを実証した。原理的・基礎的研究成果ではあるが、重要な成果であり今後に期待したい。 |