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- 第1回(11/29)磁性の基礎
- 磁気に親しもう
- 磁石になる元素たち
- 磁性の起源
- 磁気ヒステリシスの起源
- 第2回(12/06)ビデオ:「磁気光学の基礎と応用」
- 第3回(12/13)スピンエレクトロニクスの基礎
- 電気輸送と磁気
- どこまで進むかハードディスクの 大容量化?
- MRAM
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- 磁気に親しもう
- 磁性体を特徴づけるもの:磁気ヒステリシス
- 磁性体は何に応用されているか
- 永久磁石
- 磁石をつくる元素たち
- 磁性の起源
- 磁気ヒステリシスの起源
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- イントロ
- 磁性体を特徴づけるもの
- 磁性体は何に応用されているか
- 永久磁石
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- 磁性といえばハードディスク
- PC,カーナビ,ビデオカメラ,据置型ビデオレコーダ,i-Pod,携帯,薄型TV・・
- ハードディスクの高密度・大容量化の速度はめざましい 。
- ‘60年から’90年にかけて10年10倍だった高密度化の速度が90年から00年にかけて10年100倍に加速。ここに物理学が生きている。
- 03年以降、高密度化は減速している。なぜか?どうやって解決する?ここにも物理が!
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- 磁性体のうち、外から磁界を加えなくても、磁化(磁気分極)をもつものを、強磁性体という。
- 強磁性体を特徴づけるのは、
(1)磁気ヒステリシス
(2)磁気相転移
である。
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- 強磁性体の磁化は、初期状態では消えているが、外から磁界を加えると磁化が現れ、ある程度大きな磁界で磁化が飽和、磁界を切っても磁化が残る。このような磁界と磁化の関係(磁化曲線)を磁気ヒステリシス曲線という。
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- 磁界H中に置かれた磁化Mの磁性体が磁束密度は、真空中の磁束密度に磁化による磁束密度を加えたものである。すなわち、B=m0H+M
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- 磁性体に磁界を加えたとき、その表面には磁極が生じる。
- この磁性体は一時的に磁石のようになるが、そのとき磁性体が磁化されたという。
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- ミクロの磁気モーメントの単位体積あたりの総和を磁化という。
- K番目の原子の1原子あたりの磁気モーメントをmkとするとき、磁化Mは式M=
Smkで定義される。
- 磁気モーメントの単位はWb×mであるから磁化の単位はWb/m2となる。
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- 磁性体を磁界中に置き、磁界を増加していくと、磁性体の磁化は増加していき、次第に飽和する。
- 磁化曲線は磁力計を使って測定する。
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- 強磁性体の自発磁化の大きさは温度上昇とともに減少し、キュリー温度Tcにおいて消滅する。
- Tc以上では常磁性である。常磁性磁化率の逆数は温度に比例し、ゼロに外挿するとキュリー温度が求まる。
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- 原子磁気モーメントが整列している状態には、強磁性と反強磁性がある
- 温度が高くなると整列させる力に熱的にランダムにしようとする力が勝って常磁性になる
- 強磁性Û常磁性の転移温度をキュリー温度
反強磁性Û常磁性の転移温度をネール温度
という。
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- さまざまなJについて、分子場理論で交点のM/M0をTに対してプロットすると磁化の温度変化を求めることができる。
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- レーザ光をレンズで集め磁性体を加熱
- キュリー温度以上になると磁化を消失
- 冷却時にコイルからの磁界を受けて記録
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- 保磁力のちがいで
用途が違う
- Hc小:軟質磁性体
- Hc中:半硬質磁性体
- Hc大:硬質磁性体
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- 磁気記録、光磁気記録→IT
- 光アイソレータ→光ファイバ通信
- 永久磁石→モータ、アクチュエータ
- 変圧器、インダクター用磁心
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- 鉄?
- いいえ。鉄だけの磁石はありません
- アルニコ磁石(AlNiCoFe)
- フェライト磁石(BaFe12O19 or SrFe12O19
)
- サマコバ磁石SmCo5
- ネオジム磁石Nd2Fe14B
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- 外部磁界をかけなくても物質が磁化をもっているならば、その磁化を自発磁化という。
- 自発磁化をもつ磁性体を広義の強磁性体というが、これには、狭義の強磁性体、フェリ磁性体等があるが、ほとんどの(広義の)強磁性体は、3d遷移金属および4f希土類金属の合金、あるいは、化合物である。
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- 3d 遷移金属
- 室温で強磁性を示す金属元素:Fe, Co, Niのみ
- 合金や金属間化合物を作ると強磁性になる元素:Mn (MnAs, MnSb, MnBi, MnAl, MnGa, Mn5Ge3,
PtMnBi等), Cr (CrO2, Cr3Te4, CdCr2Se4)
- Feの酸化物はフェライトと総称され、フェリ磁性を示す
(Fe3O4, MgFe2O4,
YFeO3, Y3Fe5O12)
- 4f希土類金属
- 室温で強磁性を示す希土類はない。
- Gd, Dyは低温で強磁性を示す
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- WebElementsTM Periodic table (http://www.webelements.com/)より
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- 3d遷移金属:Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni
- Arの閉殻(1s22p63s23p6)+3dn4s2
- 3d軌道には5個の軌道があり
スピンまで入れて10個の状態がある。
- 遷移金属では3d軌道を部分的にしか満たさずに、4s軌道を占有する。(不完全内殻)
- このため、不対スピンが生じ原子磁気モーメントをもたらす。室温で強磁性を示すのは、Fe, Co, Niの3つのみ。
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- Ti 常磁性
- V 常磁性
- Cr 反強磁性(スピン密度波) TN=308K
- Mn反強磁性(螺旋磁性) TN=100K 常磁性@RT
- Fe 強磁性 m=2.219 mB/atom
Tc=1043K
- Co 強磁性 m=1.715 mB/atom
Tc=1388K
- Ni 強磁性 m=0.604 mB/atom
Tc=631K
- Cu 反磁性
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- Sc(スカンジウム):メタルハライドランプ用発光気体
- Ti(チタン):軽量高強度金属(航空機産業から眼鏡まで)、酸化物結晶は光学用途、酸化物薄膜は光触媒作用
- V(バナジウム):原子炉材、超硬合金材、TiとFeの接着用、酸化物はセラミクス・触媒用途、超伝導用
- Cr(クロム):ステンレス用合金材、表面被覆材、緑色着色剤、酸化物は炉材・研磨剤用途
- Mn(マンガン):磁性合金材、アメジスト色着色剤、酸化剤
- Fe(鉄):炭素と合金化して鋼を形成、構造材、磁性合金材
- Co(コバルト):ステンレス用合金材、磁性合金材、磁気記録媒体材料、青色着色剤、60Co はガンマ線源、表面被覆材、触媒
- Ni(ニッケル):ステンレス用合金材、磁性合金材、緑色発色剤、金属用保護メッキ材、触媒
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- La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb
- 不完全4f殻を有している。
- 遷移金属と組み合わせると磁石材料になる
- 希土類遷移金属アモルファス合金はMO媒体材料
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- 磁石をどんどん小さくすると
- 磁極は必ずペアで現れる
- 究極のミニ磁石→原子磁気モーメント
- 磁気モーメントの起源:角運動量
- 磁気をそろえ合う力
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- 磁石は分割しても小さな磁石ができるだけ。
- 両端に現れる磁極の大きさ(単位Wb/cm2)は小さくしても変わらない。
- N極のみ、S極のみを
単独で取り出せない。
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- さらにどんどん分割して
原子のレベルに達しても
磁極はペアで現れる
- この究極のペアにおける
磁極の大きさと間隔の積を磁気モーメントとよぶ
- 原子においては、電子の軌道運動による電流と電子のスピンよって磁気モーメントが生じる。
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- 電子の周回運動は環状電流をもたらす。
- -e[C]の電荷が半径a[m]の円周上を線速度v[m/s]で周回しているとすると、
→1周の時間は2pa/v
[s]
→電流はi=-ev/2πa [A]。
- 磁気モーメントは、電流値iに円の面積
S=p a2をかけることにより求められ、
m=iS=-eav/2
となる。
- 一方、角運動量はG=mav であるから、これを使うと磁気モーメントは
m=-(e/2m)
G となる。
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- 電子の周回運動は環状電流をもたらす。
- -e[C]の電荷が半径a[m]の円周上を線速度v[m/s]で周回しているとすると、
→1周の時間は2pa/v
[s]
→電流はi=-ev/2πa [A]。
- 磁気モーメントは、電流値iに円の面積
S=p a2をかけることにより求められ、
m=iS=-eav/2
となる。
- 一方、角運動量はG=mav であるから、これを使うと磁気モーメントは
m=-(e/2m)
G となる。
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- 量子論によると角運動量は hを単位とするとびとびの値をとり、電子軌道の角運動量はGl=hLである。Lは整数値をとる
- m=-(e/2m) Gに代入すると軌道磁気モーメントは次式となる。
- ml=-(eh/2m)L=- mBL
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- 電子スピン量子数sの大きさは1/2
- 量子化軸方向の成分szは±1/2の2値をとる。
- スピン角運動量はh を単位としてGs=hsとなる。
- スピン磁気モーメントはms=-(e/m)Gsと表される。
- 従って、ms=-(eh/m)s=- 2mBs
- 実際には上式の係数は、2より少し大きな値g(自由電子の場合g=2.0023)をもつので、 ms=- gmBsと表される。
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42
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- ディラックの相対論的電磁気学から必然的に導かれる。
- スピンはどのように導入されたか
- Na(ナトリウム)のD線のゼーマン効果(磁界をかけるとスペクトル線が2本に分裂する。)を説明するためには、電子があるモーメントを持っていてそれが磁界に対して平行と反平行とでゼーマンエネルギーが異なると考える必要があったため、導入された量子数である。
- 電子スピン、核スピン
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- NaランプはD線と呼ばれる波長589.6nm と 589.0nmの2本のオレンジ色の輝線スペクトルを示し、トンネルなどの道路照明に使われている。
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- NaのD線に磁場を加えるとスペクトル線の分裂が起きる。
- この分裂は軌道によるものでは説明できず、スピンを導入することで説明された。
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- 各軌道には最大2個の電子が入ることができる
- 電子はエネルギーの低い軌道から順番に入る
- エネルギーが等しい軌道があれば、まず電子は1個ずつ入り、その後、2個目が入っていく
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- 主量子数 n
- 軌道角運動量量子数 l=n-1, .... ,0
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- s, p, d, f は軌道の型を表し、それぞれが方位量子数l=0, 1, 2, 3に対応する。sには電子分布のくびれが0であるが、pには1つのくびれが、dには2つのくびれが存在する。
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49
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- 原子が基底状態にあるときのL, Sを決める規則
- 原子内の同一の状態(n, l, ml, msで指定される状態)には1個の電子しか占有できない。(Pauli排他律)
- 基底状態では、可能な限り大きなSと、可能な限り大きなLを作るように、sとlを配置する。(Hundの規則1)
- 上の条件が満たされないときは、Sの値を大きくすることを優先する。(Hundの規則2)
- 基底状態の全角運動量Jは、less than halfではJ=|L-S| 、more than halfではJ=L+Sをとる。
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- 左肩の数字 2S+1 (スピン多重度)
- S=0, 1/2, 1, 3/2, 2, 5/2に対応して、1, 2, 3, 4, 5, 6
- 読み方singlet, doublet, triplet, quartet, quintet, sextet
- 中心の文字 Lに相当する記号
- L=0, 1, 2, 3, 4, 5, 6に対応してS, P, D, F, G, H, I・・・
- 右下の数字 Jz
- 例:Mn2+(3d5) S=5/2 (2S+1=6), L=0 (→記号:S)
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- 3d遷移イオン:磁気モーメントの実験値:スピンのみの値に一致(軌道角運動量の消滅)
- 4f希土類イオン:磁気モーメントの実験値:全角運動量による値と一致
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- Ferroというのは「鉄の」という意味で鉄に代表されるような磁気的性質という意味である。
- 鉄に代表される性質とは、外部磁界を加えなくても磁化をもつ、即ち、自発磁化をもつことである。
- 強磁性体の例:
- 遷移金属 Fe, Co, Ni,
- 遷移金属合金:Fe1-xNix, Fe1-xCox,
Co1-xCrx, Co1-xPtx, Sm1-xCox
- 金属間化合物:PtMnSb, MnBi, NdFe2B14
- 酸化物・カルコゲナイド・ニクタイド、ハライド:
La1-xSrxMnO3, CrO2,
CdCr2S4, Cr3Te4, MnP, CrBr3
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- これまで原子が磁気モーメントをもつことを述べた
- それでは、強磁性体ではなぜ原子の磁気モーメントの向きがそろっているのか。
- また、なぜ強磁性体はキュリー温度以上になると磁気秩序を失い、常磁性になるのか。
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- 磁気モーメントをバラバラにしようとする熱擾乱の作用が、磁気モーメントをそろえようとする交換相互作用に打ち勝つと、磁気秩序が失われ常磁性になる。
- 磁気秩序がなくなる温度を、強磁性体ではキュリー温度とよびTCと記述する。反強磁性体ではネール温度とよびTNと記述する。
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- バンドモデル(遍歴電子磁性)
- 局在モデル(局在電子磁性)
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- 通常のバンド計算では、電子間の位置の相関を平均的なものに置き換える近似を行うので真の電子間相互作用は求まらない。
- バンドモデルが適用できるのは、金属磁性体に限られる。MnOやNiOのような絶縁性の磁性体を単純にバンド計算すると金属になってしまう。これは、電子相関が考慮されていないからである。
- 電子相関とは、フントの規則のように電子同士のクーロン相互作用がスピンに依存することから生じる。つまり、同じ向きのスピンをもつ2つの電子は同じ軌道に入ることがないので重なりが小さくクーロン相互作用も小さいが、逆向きスピンの2つの電子は同じ軌道を運動できるのでクーロン相互作用が強くなって、エネルギー的に不安定になるため、電子の移動を妨げる効果である。この2つの状態の間のエネルギー差は電子相関エネルギーと呼ばれ、Uで表され、数eVのオーダーである。
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- バンドモデルに電子相関を導入する手法がハバードモデルである。
Fig. 3は、横軸をD/Uにとったとき、電子のエネルギー準位がD/Uに対しどのように変わるかを示した図である。
ここにDはバンド幅で電子の移動のしやすさの尺度である。T0は満ちたバンドの平均エネルギーである。
- バンド幅が電子相関エネルギーに比べ十分小さなとき、すなわち、D/U<<2/31/2のときは禁制帯が現れ、系は絶縁体となる。D/U®0は局在性の強い極限で、電子移動が起きるにはUだけ余分のエネルギーが必要である。このため、電子は原子付近に束縛され、局在電子系として振る舞う。
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- MnOは電荷移動型絶縁体と考えられている。Mn2+においては3d電子5個がスピンを揃えてlower Hubbard
bandの5個の軌道を占有している。ここに1個電子を付け加えようとすると、逆向きのスピンを付け加えなければならないので、upper
Hubbard bandに入り、電子相関Uだけエネルギーを損する。
- 実際には、酸化物イオンのp軌道からなる価電子帯が満ちたバンドの頂にくるので、ギャップはこの状態と3d電子系のupper Hubbard bandの間に開いている。これを電荷移動型ギャップという。
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- ここでは、バンドモデルにもとづく金属磁性を出発点にとって、電子相関の強い極限として局在モデルを扱う。
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- 種々の遷移金属合金について1原子あたりの原子磁気モーメントと平均電子数の関係を示した曲線。
- Crから始まって45°の傾斜で上昇する半直線か、Fe30Co70付近からNi60Cu40に向かって-45°で下降する半直線のいずれかに載っている。
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- 磁性体といえば、だれもが鉄Feを思い浮かべる。Feは金属である。
- 一般に金属であればエネルギーバンドモデルでは伝導帯の電子状態の一部が占有され残りが空いているような電子構造を持つはずである。
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- (a)はアルカリ金属(Na,Kなど)のs電子に由来するバンド状態密度である。
- (b)は、磁性をもたない遷移金属のバンド状態密度である。S電子帯に加えて、狭く状態密度の高いd電子帯が重畳している。
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- 磁性がある場合のエネルギーバンドを考えるに当たっては、電子のスピンごとにバンドを考えなければならない。右側が上向きスピン、左側が下向きスピンを持つ電子の状態密度である。
- 普通の非磁性金属では図(a)のように、左右対称となる。これに対し、強磁性体では、図(b)に示すように上向きスピンバンドと下向きスピンバンドとに分裂する。分裂は、狭い3dバンドで大きく、広いspバンドでは小さい。
この分裂を交換分裂という
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- Feは↑スピンバンドに比し↓バンドの状態密度がかなり小さい。n↑-n↓=2.2
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- バンドモデルによって、合金における磁気モーメント変化の傾向が説明された。
- 電子のバンド占有によって「Cuが40%合金したときモーメントを失う」ことが説明された。
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- (a)通常の強磁性体金属はup spin, down spinとも金属的
- (b)Half metalではup spinは金属、down spinは半導体
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- たとえば、磁気トンネル接合(MTJ)素子のところで出てくるホイスラー合金Co2CrAlなどがその例
- 上向きスピンのバンドを見る限り金属のように伝導帯の一部が占有された構造をとるのに対し、下向きスピンのバンドにおいては、半導体のように電子に占有された価電子帯と電子に占有されない伝導帯がバンドギャップを隔てて分かれており、フェルミ準位はバンドギャップの中に存在する。
- このような構造をとると、フェルミ準位における電子状態は100%スピン偏極する。MTJにおいて磁気抵抗比はスピン偏極率の関数で与えられるので、ハーフメタルが注目される
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- 原子の位置に局在した多電子系では、通常フントの規則に従うように軌道角運動量とスピン角運動量が決められる。
- 3d遷移金属イオンでは、3d電子が配位子のp軌道と混成し、軌道角運動量はほぼ消失している。
- 4f希土類では、4f軌道は孤立原子内の状態とあまり変わらないので、全角運動量がよい量子数である。
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- 常磁性体に誘起される平均の磁気モーメントは室温でB=100mTの磁界のもとでも10-2emu/cc程度の小さな量である。
- これに対して、強磁性体では、磁界を印加しなくても103emu/ccという大きな自発磁気モーメントを持っている。
- ワイスは、原子の磁気モーメントが周りの磁気モーメントからの場(分子場)を受けて整列しているというモデルを立てて、強磁性体の自発磁化を説明した。
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- 1つの磁気モーメントを取り出し、その周りにあるすべての磁気モーメントから生じた有効磁界によって、考えている磁気モーメントが常磁性的に分極するならば自己完結的に強磁性が説明できる
- これを分子場理論、有効磁界を分子磁界または分子場(molecular field)と呼ぶ。
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- 磁化Mをもつ磁性体に外部磁界Hが加わったときの有効磁界はHeff=H+AMと表される。Aを分子場係数と呼ぶ。
- 分子場係数AはJexを交換相互作用係数、zを配位数としてA=2zJex/N(gmB)2で与えられる。
- この磁界によって生じる常磁性磁化Mは、 M=M0BJ(gmBHeffJ/kT)という式で表される。
- M0=NgmBJはすべての磁気モーメントが整列したときに期待される磁化。
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- Heff=H+AMであるから、H=0のときHeff=AM
- 自発磁化が生じるにはHeff=AMをM=M0BJ(gmBHeffJ/kT)に代入して
- M/M0=BJ(gmBJHeff/kT)=BJ(gmBJAM/kT)
が成立しなければならない。
- Aに分子場係数の式A=2zJex/N(gmB)2 を代入して
M/M0= BJ(2zJexgmBMJ/ N(gmB)2kT)
- ここでM0=NgmBJを使って書き直すと
M/M0= BJ((2zJexJ2/kT)
M/M0)を得る。
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- y=M/M0、x=(2zJexJ2/kT) M/M0とすると、上の方程式を解くことは、曲線y=BJ(x)と直線
(2zJexJ2/kT) y=xを連立して解くことと同じである。
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83
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- 温度が低いとき、直線の傾斜はゆるく、ブリルアン曲線と直線ははy=M/M0 =1付近で交わる。
- 温度が上昇するとyの小さいところ交わる。
- 高温になると、0以外に交点を持たなくなる
- (2zJexJ2/kT) y=xの勾配とy=BJ(x)の接線の勾配が等しいときがキュリー温度を与える。
- x=0付近ではy~x/3であるから、3y=xと書ける。
- 従って、Tcは2zJexJ2/kTc=3によってきまる。即ち
Tc=2zJexJ2/3kとなる。
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- さまざまなJについて、分子場理論で交点のM/M0をTに対してプロットすると磁化の温度変化を求めることができる。ニッケルの磁化温度曲線はJ=1/2でよく説明される。
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- キュリー温度Tc以上では、磁気モーメントはバラバラの方向を向き、常磁性になる。分子場理論によれば、このときの磁化率は次式で与えられる。
- この式をキュリーワイスの法則という。
- Cはワイス定数、Qpは常磁性キュリー温度という
- 1/cをTに対してプロットすると1/c=(T- Qp)/Cとなり、横軸を横切る温度がQpである。
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- Heff=H+AM
- M/Heff=C/T (MとHeffの間にキュリーの法則が成立すると仮定する)
- M/(H+AM)=C/T→MT=C(H+AM)
従って、M(T-CA)=CHより
- c=M/H=C/(T-CA)となる。CA=Qpと置けば
キュリーワイスの法則が導かれる。すなわち
c=C/(T- Qp)
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- 強磁性体の自発磁化の大きさは温度上昇とともに減少し、キュリー温度Tcにおいて消滅する。
- Tc以上では常磁性である。常磁性磁化率の逆数は温度に比例し、ゼロに外挿するとキュリー温度が求まる。
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88
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89
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- 磁化が特定の方向を向くとすると、N極からS極に向かって磁力線が生じます。この磁力線は考えている試料の外を通っているだけでなく、磁性体の内部も貫いています。この磁力線を反磁界といいます。反磁界の向きは、磁化の向きとは反対向きなので、磁化は回転する静磁力を受けて不安定となります。
- 磁化の方向が逆方向の縞状の磁区と呼ばれる領域に分かれるならば、反磁界がうち消し合って静磁エネルギーが低下して安定するのです
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90
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- 磁性体表面の法線方向の磁化成分をMn とすると、表面には単位面積あたりs = Mnという大きさの磁極(Wb/m2)が生じる。
- 磁極からはガウスの定理によって全部でs /μ0の磁力線がわき出す。このうち反磁界係数Nを使って定義される磁力線NMは内部に向かっており、残りは外側に向かっている。すなわち磁石の内部では、Mの向きとは逆方向の反磁界が存在する。
- 外部では磁束線は磁力線に一致する。
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91
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- 磁化Mが反磁界-Hdのもとにおかれると
U=M×Hdだけポテンシャルエネルギーが高くなる。
- 一様な磁界H中の磁気モーメントMに働くトルクTは
- T=-MH sinq
- 磁気モーメントのもつポテンシャルEは
- U=òTdq= -ò 0qMH sinq dq=MH (1-cosq)
- エネルギーの原点はどこにとってもよいので
ポテンシャルエネルギーはU=-M・Hと表される。 H=-Hdを代入すると反磁界によるポテンシャルの増加は
U=M・Hd
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92
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- 結晶表面をxy面にとる
- 表面でz=0とする
- 磁区の磁化方向は±z
- 磁区のx方向の幅d
- 磁極の表面密度w
=Is 2md<x<(2m+1)d
=-Is (2m+1)d<x<2(m+1)d
- 磁気ポテンシャルjをLaplaceの方程式で求める
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93
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- 磁区の単位表面積あたりの静磁エネルギー
- 磁壁のエネルギー
- ε=εm+εwを極小にする。
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- 磁性体は半導体と違って形状・寸法・結晶方位とか磁化の方位などによって物性が大きく変化する。
- 1つの原因は上に述べた反磁界係数で、形状磁気異方性と呼ばれます。反磁界によるエネルギーの損を最小化することが原因です。
- このほかの原因として重要なのが結晶磁気異方性です。結晶磁気異方性というのは、磁界を結晶のどの方位に加えるかで磁化曲線が変化する性質です。
- 電子軌道は結晶軸に結びついているので、磁気的性質と電子軌道との結びつき(スピン軌道相互作用)を通じて、磁性が結晶軸と結びつくのです。半導体にも、詳しい測定をすると異方性を見ることができます。これに比べ一般に半導体の電子軌道は結晶全体に広がっているので、平均化されて結晶軸に依存する物性が見えにくいです。
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- 磁化しやすさは、結晶の方位に依存する。
- 鉄は立方晶であるが、[100]が容易軸、[111]は困難軸
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- 全体が磁区に分かれることにより、全体の磁化がなくなっている。これが初磁化状態である。
- 磁区の内部では磁化は任意の方向をランダムに向いている訳ではない。
- 磁化は、結晶の方位と無関係な方向を向くことはできない。磁性体には磁気異方性という性質があり、磁化が特定の結晶軸方位(たとえばFeでは[001]方向および等価な方向)を向く性質がある。
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