光970603 光物性工学970603
H1,2コース 光物性工学 佐藤勝昭教官1997.6.3配布資料


第5回(97.5.27)の授業の内容:

誘電関数をミクロな起源から扱う。

  •  イオン分極の場合:換算質量と相対変位を用いて古典論的運動方程式を立て、exp型の振動解を仮定して解く。この式と、マクスウェル方程式の連立により、ポラリトンの分散曲線が計算できる。
  •  電子分極の場合:ドルーデ・ローレンツの式。束縛項のない場合→自由電子の運動方程式→金属の誘電率。
  •  束縛のある場合→6/3に説明。 

  • 第5回の問題回答


    問題1:自由電子の集団運動による誘電率のω依存性を図示せよ
    解答:  (図:省略)
    誘電率が0を横切るωはεr=1−ωp22 であるから
    1−ωp22=0より、
    ω=ωp=(Nq2/m*ε01/2である。
    このωpをプラズマ角周波数とよぶ。
    たとえば、N=1022cm-3(=1028m-3)、m*/m0=1のとき、
    ωp= q(N/m*ε01/2
    =1.6*10-19*(1028/(9*10-31*8.854*10-12)) 1/2
    =5.67*1015rad/s=9.03*1014Hz=3.73eV

    質問への回答


    Q1. マジックミラーとは(H2淵上)→A.ハーフミラーといって、50%以上反射するミラーです。透過する成分は少なくなりますが、くらい部屋から明るい部屋を見るとちゃんと見えます。逆に明るい部屋の側からは、室内の光が反射するので、くらい方の室内を見ることができません。
    Q2.赤外線メガネとはどういう仕組みか (H2淵上)→A.赤外線の画像を何らかの方法で可視光線に変換します。赤外線用イメージインテンシファイアでは、赤外線洋の光電変換プレートで光電子を発生させ、光電子数を光電子像倍管と同様の仕掛けで増倍し蛍光板に当てて発光させます。赤外線用のCCDカメラと液晶ディスプレイなどの組み合わせもあります。
    Q3. 光マイクロマシンとは何か(H2落合)→A.光の作用で駆動されるマイクロマシンです。マイクロマシンとは、半導体の微細化高技術を応用して、ミリメータ以下のスケールのモータや、アクチュエータ等をつくる技術です。光マイクロマシンには、動力源は別にあって、光を信号として利用しその情報によって制御するもの、光のエネルギーを動力として駆動されるもの等があります。
    Q4.超伝導体において、クーパー対は格子の変形を媒介として結合しているということだったが、高周波に格子変形が追いつけなくなることはないのか。(H2小島)→A.GHzくらいの周波数には十分追従することができます。
    Q5.ポラリトン状態の波数は?(H2釣崎)→A.光学フォノンの格子振動の周波数に対応する光の波数です。ω=1014rad/sとして、k=ω/c〜3*103cm-1程度です。
    Q6.分極波とはどんな状態をさすのか(H2原嶌)→A:正電荷と負電荷の位置が平衡からずれた状態が波として物質中を伝わっていく様子を表しています。

    光物性工学の講義