H1,2コース 光物性工学 佐藤勝昭教官1997.5.20.日配布資料

第4回の授業の内容:光学異方性と光学活性

等方性媒体→誘電率はスカラーで表せる。
異方性媒体→誘電率は2回のテンソル量
      常光線と異常光線の2つの解がある。


第4回の問題回答
問題1:直線偏光を得る方法についてのべよ。
解答:@ガラスなどの透明な媒体でブリュースター角で入社したときの反射光は直線偏光になっている。 A 方解石などでできたプリズム偏光子または、ポラロイド板のようなプラスチック偏光板を用いる。
質問への回答 Q1.光学活性の活性とはどんな意味を含んでいるか。(H2福本)→A.英語のoptical activityの直訳です。習慣的に旋光性と円二色性をあわせてこうよんでいます。passive(受け身)ではなく結晶が光に対してactionをとるというようなニュアンスがあります。
Q2.光の速度は超えられないのか(H1平塚)→A.一般相対論を認めるならば、何者も光の速度を超えて運動することは出来ません。
Q3.RsやRpはどのようなところに重要になるか(H1富沢)→A.半導体の多層膜などにおいて、光の反射の際の振幅の偏光性および位相のシフトを利用して、膜厚を決めたりする方法が行われています。これをエリプソメトリといいますが、rp/rs=√Rp/Rsはエリプソメトリにおける重要なパラメータです。H1の齋藤先生はその道の権威で、多くの研究成果を発表しておられます。斎藤研にいく人は勉強しておいてね。
Q4.方解石や偏光板を見せて欲しい(H1石谷)→A.方解石は手元にないのですが、偏光板は今日お見せします。
Q5.レーザメスの危険性は(H1石谷 )→A.症状に合わせ、十分に絞って患部のみを加熱すれば、危険性はありません。普通のナイフでも使い方を誤れば危険です。
Q6.太陽電池を作るために必要なエネルギーと太陽電池が寿命までに作るエネルギーの比は(H2阿部) →A:結晶シリコンを作るのに要するエネルギーは太陽電池5−6年間稼働するエネルギーに相当します。寿命20年とすると4倍くらいは発電するのです。
Q7.電離放射線にも偏光や反射などはあるのか。(H2淵上) →A.極紫外線や軟X線用のミラーもあります。シンクロトロン軌道放射光は電子の回転面内に強く偏光しています。もちろんX線の円偏光を作ることも加納で、放射光を用いた偏光光物性は磁性体の重要な測定技術になりつつあります。
Q8.光学活性を持つものはすべて誘電体といえるか(H2淵上)→A.光磁気ディスクは合金の薄膜を用いて光学活性の一種の磁気カー効果を使ってデータの再生を行います。金属であっても光の周波数くらいになると誘電体とみなしてもよいのです。しかし、一般には金属を誘電体とは呼びませんよね。 Q9.偏光や光に関する手軽な実験方法を知りたい(H1児玉)→A.中学校、高等学校の理科の教科書には絵入りで優しく説明してあります。受験参考書にも実験のことが書いてありますよ。本屋さんで立ち読みしてご覧。
Q10 なぜ全反射がおきるか。(H1川口)→屈折の法則で許された範囲以外から来た光は、界面を通り抜けることが出来ませんので、そのエネルギーが全部反射するわけです。
Q11結晶の形が立方晶と異なるものに光を通すとスペクトルが異なるとの話だったが、実際にどんな見え方をしてどんなことに役立つのか(H2落合)→A.結晶の吸収端が偏光の方向によって異なることがあります。このようなとき、結晶の前に偏光板をおいて回すと色が違って見えます。また、結晶がひずんでいたとすると光弾性のために部分的に偏光特性が変わって干渉により色が付くことがあります。瀬戸大橋などの橋の模型を作って風洞に入れ、風圧を加えたときの力の分布する様子をみるために、光弾性をもつものを構造物に貼り付けておいてレーザ光を通し、ひずみの量を調べるなんてことも行われています。
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