電子物性工学U 佐藤勝昭教官 1998.10.9

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 教科書:佐藤勝昭編著「応用物性」(オーム社)

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第1回(1998.10.2)の学習内容

電子物性工学Tの復習:先生から学生への質問

  半導体には、直接遷移型半導体と間接遷移型半導体があるが、それぞれの例を示せ。

  直接遷移型半導体と間接遷移型半導体の違いはなにか。

  半導体と金属とでは電気抵抗の温度変化はどう違うか。

 復習しておいて欲しいキーワード:

  バンド構造:伝導帯、価電子帯、バンドギャップ、フェルミ分布

  電気伝導:アレニウスプロット、キャリア濃度、移動度、散乱、有効質量

 電子物性工学Uで学ぶこと:

  光物性、磁性、超伝導

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第1回の問題

 半導体と金属の電気的性質について知っていることを書け。

[解答]金属の電気抵抗率は、10-6?cm〜10-4?cmであるが、半導体では、ドーピングの違いによって金属に近い低抵抗のものから絶縁物に近い高抵抗のものまで存在する(教科書図2.1)。金属と半導体の電気的性質の最も顕著な違いは抵抗率の温度変化である。半導体では、温度上昇とともにキャリア密度が増加するため電気抵抗は指数関数的に低下するが、金属ではキャリア数は温度によってほとんど変化せず温度上昇とともに格子振動の増加が起き移動度が低下するため電気抵抗は増大する。

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第1回の授業で印象に残ったこと

最先端技術、日本の工業技術、半導体工業の現状について知ったこと(新井、木村、木場、小林、堺、高山、中村(哲)、松田、大和、渡邊、清水)

一般に磁性よりも半導体が重視されているが、最近、磁性が注目されているということ(尾崎、佐藤(広)、外山、林(大)、広原、伊藤(亜)、橋本、松井(宣)、山本(陽)、吉岡)

電子物性工学Tを復習する必要があると思った(板倉、柿沼、木村、千倉、花岡、伏見、松井(邦)、宮田)

習ったことが身についていない、勉強しなければならないことが多い(小泉(健)、平井、松山、宮ノ入、吉田、指宿)

直接半導体と間接半導体の意味を理解したこと(臼井、大谷、大槻、杉田、高橋、藤本、中山(博))

システム,デバイス,材料,物性の関連についてイメージがつかめたこと(高橋(誠)、千台、延命、阿須間、井尻、米光)

ハードディスクの仕組み、現状、新しい応用について知ったこと(伊藤(雅)、稲垣、今中、小原、蒲谷、西村、若田)

農工大の先生方の研究活動を知ったこと(大谷、溝田、森岡、下温場、大角)

高温超伝導関係(中野、後藤、中村(洋)、星乃、山上)

半導体と金属の温度変化について知ったこと(桜沢、林(拓)、山中、深澤)

科学技術の発展のためにこれからの物性研究が大切であること(野田、渡辺、勝田)

アレニウスプロットを知ったこと(佐藤(良)、遠藤、チュア、浜田)

先生の大阪弁(上野、桜沢、松井、山崎)

青色レーザでDVDの容量が3倍になるという話(宍戸、目黒)

難しい専門用語がよく分からなかった(榧守、一杉)

学問だけでなく、最近の経済や社会の現状について話したこと(金子、渡邊(整))

[このほか]米国が冷戦終結後軍事技術を民生転換したため情報技術が発展したということ(井海)、MDがもっと高密度になるということ(山中(良))、今まで勉強とは計算が解けて専門用語の知識を詰め込めばよいと思っていたが、ある現象がなぜ起きるかを考え、知ることがいかに大切かを知ったこと(高橋(宏))、大学で学ぶことはほんの一部に過ぎないが、どの本を読めば分かるかが得られるということ(原山)などがありました。

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第1回の質問・要望

Q:複数音をどうやって0, 1で記録するのか(稲垣)→A:アナログ信号をAD変換によってディジタルに変換しています。どんなに複雑な電気信号も、各クロックの時点での値を数字として読めば、それを2進数に表すことができます。

Q:なぜリニアモータカーは、高温超伝導でなく、液体Heを使う古い超伝導を使うのか(木村)→A: 従来の超伝導ですらリニアとしての実用技術の確立には課題があるのです。高温超伝導はもっと技術が未成熟なので、次世代の課題。

Q:超伝導はいつ発見されたのか(木場)→A: 1911年オランダの科学者カメリンオネスが発見しました。ライデン大学にはカメリンオネス研究所があります。

Q:なぜ、青色レーザで記録容量が上がるのか(宍戸)→A:光をレンズなどで集光したとき回折限界によりほぼ光の波長の直径より小さくすることはできません。波長を現在の赤(750nm)から開発された青(430nm)にするとビットあたりの面積は1/3になりますから、記録密度は3倍になります。

Q:レーザには赤と青以外にあるのか。舞台照明のレーザとCDで使っているレーザは同じものか。(チュア)→A:可視光線のすべての範囲、さらには赤外線、遠赤外線、紫外線のレーザが実現しています。X線のレーザも研究が進んでいます。舞台照明にはHeNeやArなどの気体レーザが使われます。電子デバイスには、半導体のpn接合でできたダイオードによる半導体レーザが使われます。レーザのことは、後でお話しします。

Q:半導体が光ると何が良いのでしょう(山上)→A:半導体レーザ(LD)など半導体を使った発光デバイスは、CDやCDROM、MD、MO、DVDなどに使われています。

Q:HDDの記録密度の限界→A:近接場光学技術を使うとビットサイズは直径10nm程度に出来ますから、ビットあたりの面積は100×10-18m2=10-16m2=10-12cm2となりますから、平方センチあたり1012ビット(125Gbyte/cm2=800Gbyte/in2)という高密度になります。しかし、磁性の単位が小さくなると強磁性ではなく超常磁性という現象が生じますから、いかにこの現象を抑えるかなどの課題があります。

Q:GaSiなどという半導体を使ったらどうなるか?(中山)→A:GaSiという物質が存在するかどうかわかりません。

Q:移動度という言葉は知っているが意味が分からない。教えて欲しい。(堺)

Q:バンド理論が不安、復習して欲しい。(大和)→A:

Q:電子物性Tの復習をして欲しい。(細田、森岡、若田)→A:もう一回時間をとります。

Q:この授業と電子回路などとのつながり。(橋本)