エレクトロニクスII 佐藤勝昭教授(量子機能工学研究室)2002年度後期第4回配付資料 H14.11.1 

金曜日1限 12番教室 テキスト「電子回路」

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3回講義の復習

半導体について学んだ。

半導体は、トランジスタ、ダイオード、LED、半導体レーザ、フォトダイオードなど、電子デバイスの材料として使われており、さらにそれらを集積した電子回路である集積回路(IC)や大規模集積回路(LSI)の基礎となっている。

半導体は、電気の流れやすさを表す導電率が金属(導体)と絶縁体の間の広い範囲の値(104-10-8S/cm)をとり、その温度依存性はキャリア密度の温度依存性で決まるため、温度上昇とともに急激に増大する。

半導体には、単体の元素であるIV族のSi, Geのほか、化合物半導体GaAs, InSb, ZnSeなどがある。III-V族、II-VI族など各原子の外殻電子を共有することで、IVと電子的に等価な半導体が作られている。
元素の周期表は、物理学として重要である。

半導体の導電率は温度や不純物の添加によって人工的に制御することができる。

 

第4回で学ぶこと

半導体の実物を知る。

ダイオード、トランジスタなどの実物を知る。

pn接合の原理を学び、ダイオードの動作を知る。

l          p形とはホール[*]がキャリア[†]である半導体

l          n形とは電子がキャリアである半導体 

l          i形とは、熱的励起でできた電子とホールがキャリアである半導体(低温ではキャリアがない)

p形半導体とn形半導体を接合すると、p形側からホールがn形側に、n形側から電子がp形側に拡散する。すると境界には、p形側ではホールのいなくなった(負に帯電した)部分が、n形側では電子がいなくなった(正に帯電した)部分ができる。この領域を「空乏層」という。この領域では、正負電荷の間に電位差が生じる。この電位差を「拡散電位」または「内蔵電位」という。

l    pn接合ダイオードは整流作用がある。p側を正に、n側を負にバイアスすると電流が多く流れる。この方向を順方向という。p側を負に、n側を正にバイアスすると電流はほとんど流れない。

l    整流作用は、交流を直流に変えるために使う。ノートパソコンや電話器などのACアダプタには、ダイオードブリッジが入っている。ラジオやテレビの受信機において、高周波を直流信号に変えるにも使われる。

l    pn接合に光を当てると、半導体中には光によって電子と正孔の対ができるが、内蔵電位によってp形側が正に、n形側が負になるように電流が流れる。これがフォトダイオードという光センサや太陽電池の原理である。

l    pn接合に順方向の電流を流すと、電子と正孔の再結合が起きて、その際、内蔵電位差程度の光子エネルギーをもった光を出す。これが、LED(発光ダイオード)である。LEDにおいて、光の閉じ込めを強くすると誘導放出が起こり、LD(半導体レーザ)になる。

l    このようにpn接合ダイオードは電子デバイス、光デバイスの基本となっている。



[*] (ホールとは、電子の抜け穴であたかも正の電荷をもつ電子のように振る舞うので正孔ともいう。)

[†] (キャリアcarrierとは電気の運び手という意味。電子とホール(正孔)を指す。)